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「無い……ですね」
二、三分辺りを探して智優は言った。
「昨日は私とらすと君が竹刀を直しました。あと持ち出せるのは先生か有紗さんか蒼君です」
「たぶんそのどれでも無いと思う」
「私もそう思いたいです。鍵はちゃんと締まってましたか?」
「……開いてたかもしれない」
そうだ、俺はさっき鍵を開けると手応えが無くて、逆に捻ると鍵を締めてしまっていた。
鍵は開いてたってことか?
思い当たるのは……。
「昨日須藤がここの鍵を職員室から持ち出していた」
「じゃあ須藤君が持ち出したんですか?」
「いや、須藤が帰ったあと、竹刀があるか確認するためにここの扉を開けてる。締め忘れたりはしないはずだ」
「じゃあ鍵は締めたとしましょう。須藤君の狙いは竹刀でほぼ間違いないでしょう。でも、あんなに大きな竹刀を持ち出すのに、誰にも見つからないとでも思っていたのでしょうか」
智優の話を聞いて俺は言葉を失った。
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