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有紗と手を繋ぎながら俺達は窓から、沢山の人で賑わう中庭を見下ろしている。
ブルーウィークの最後の祭りである文化祭。
それが始まったと言うのに、俺の頭は今までに起きた一連の事件に支配されていた。
二日ぶりに会うのに、有紗とはほとんど何も話さず、気まずいとは思いながらも話したい気分にはならなかった。
三年九組の男女混合バレーの出場者以外の生徒が被害者となった事件。
実行者に精密な観察眼が要求されるこの犯行の容疑者となれるのは三年九組の人間だけ。
そして実行者が被害者の中にいると考えるといよいよ犯行の動機が見えなくなる。
被害者以外に実行者がいると考えても、動機は毛ほども分からない。
しかしそれでも男女混合バレーに出場者していた者達が容疑者と考えるのが妥当だ。
水が溢れていたあの事件はどうだ?
動機はまず分からない。
容疑者も沢山いる。
駄目だ、何も絞り込めない。
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