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焦点が定かでなくなっている岩田は、
ガムテープで動けない凛々子の方に目をやると、
「女、死ぬとこ…見たことない」
手にかけていた松雄を放り出して、
凛々子を抱き起こした。
「凛々子っ」
これ以上、傷つけないで。
岩田は、阻止しようとする私を突き飛ばして、
今度は凛々子の首を締め出した。
ガムテープで呼吸が十分じゃない凛々子は、
直ぐにもがき苦しみ出す。
「止めてよっ!! 本当に死んじゃう」
ドラッグが、
人を廃人にしてしまうというのは本当だ。
この二人に、
凛々子や私を傷つけることへの罪悪感なんて存在しないんだ。
畳に転がっている誇りだらけの日本酒の瓶を見つけ、
背後から、それを思いきり岩田の頭に殴り付けた。
私も、
岩田の死なんて、
どうでも良くなっていた。
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