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たとえ、イカれてしまっているとはいえ、
人を傷付ける時に頭を支配するのは、
やっぱり、
自分の事、
大切な人のこと。
「…やりやがった、ハハ………山村、お前、やっぱどっかオカシイよな?」
驚きながらも、何がオカシイのか笑う松雄。
そして、
ビール瓶を殴りつけ、
血だらけで倒れる岩田の頭を見て、
やっと、
ハッと我に返った。
「………あ………」
今まで体感したことのない、
鳥肌と絶望が全身を包み込む。
………わたし、
殺した?
「手間省いてくれてありがとうな!
こいつはもう、用無しだったんだ!」
腰を抜かしたように笑う松雄は、
同じように目を丸くして驚く凛々子の髪を引っ張り、
「お前の妹、殺人しちまったぞ」
そのまま、凛々子の身体を抱え込むように、私を置いてどこかに行こうとする。
「死体と一緒にこれからどうするか考えろや」
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