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凛々子とは仲の良い姉妹じゃない。
奔放で自分に自信がある姉の事、
心のどこかで疎ましく思っていたし、
大人になっても、一緒に住んでいたら息の詰まることばかりで………。
男のことに関しては、
酷いこと、いっぱい言われた………。
「お前、姉を逃がして、俺まで殺す気じゃないだろうな?」
それでも、
「………私を逃がしたら自首するから…そしたら、直ぐに警察がくる」
「もう警察なんか怖くねーよ。
ただ、刑務所のなかで死ぬのはゴメンだけどな」
凛々子は、
真っ白だ。
「………だから私が、あんたの死に様を見てやるって言ってるの………本当に耐えられなくなったら病院に運ぶし、
………安楽死だってさせてあげる」
派手で、男にだらしなかったけど、
私のように誰かを悲しませたり、
″死″を、意識させたりすることはなかったはずだ。
「安楽死………?」
凛々子には、
明るい場所で生きててほしい。
「これ………やり過ぎたら呼吸不全起こすんでしょ?」
「岩田が盗んだやつ、まだ、残ってたのか」
暗闇に慣れてしまっている私は、
部屋に残っていた粉末のドラッグを、
あるだけ全部握りしめていた。
「だから、凛々子を帰らせて。
私と違って、いなくなると騒ぎになる人間だよ………」
救出の可能性は、凛々子に託す方が良いと信じて――――
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