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結構な衰弱状態の凛々子に、とりあえず水を飲ませる。
よほど喉が渇いていたのか、
コップの水をイッキ飲み。
「………その昔のレイプ事件の犯人が葵といるなら、
それが脅迫めいたもんなら迷わずにサツに電話しようぜ」
大まかに聞いた逆恨みからの拉致事件。
腹が立って仕方なかったけれど、
治療の疲れからか、直ぐに行動に移すことはできなかった。
「………言えないよ」
凛々子が、泣きながら首を横に振る。
「なんで?世間体かよ?」
「そうじゃない、
殺したから、
葵が………」
は?
「………なんて?」
聞き間違えたかと思った。
泣きじゃくる凛々子の肩を掴んで、
もう一度聞き直す。
「葵が、一人の男、空き瓶で殴り殺したから………」
事態は、
思っていたより
ずっと、深かった。
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