葵の決意

27/40
前へ
/40ページ
次へ
結構な衰弱状態の凛々子に、とりあえず水を飲ませる。 よほど喉が渇いていたのか、 コップの水をイッキ飲み。 「………その昔のレイプ事件の犯人が葵といるなら、 それが脅迫めいたもんなら迷わずにサツに電話しようぜ」 大まかに聞いた逆恨みからの拉致事件。 腹が立って仕方なかったけれど、 治療の疲れからか、直ぐに行動に移すことはできなかった。 「………言えないよ」 凛々子が、泣きながら首を横に振る。 「なんで?世間体かよ?」 「そうじゃない、 殺したから、 葵が………」 は? 「………なんて?」 聞き間違えたかと思った。 泣きじゃくる凛々子の肩を掴んで、 もう一度聞き直す。 「葵が、一人の男、空き瓶で殴り殺したから………」 事態は、 思っていたより ずっと、深かった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加