葵の決意

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それでも出勤はしなければならず、 「………悲しい映画を観ながら寝たので」 「ならいいけど。この仕事が嫌でとかじゃないなら」 ホテル清掃の先輩には、気を遣わせた。 こんなこと口に出したら叱られるかもしれないけれど、 「………そんなことは………」 仕事なんて、どうでもいい。 大切な人に去られる事に比べたら………。 「今日は水回り以外のこと教えるわね、ベッドメイキングも覚えたら一人でするのよ」 「は………い」 ケイタ、 今頃 福岡に向かったのかな? 「裾の折り込み方、雑にしないようにね、ここをピシッとしないと綺麗なメイキングにならないからね」 泊まりじゃないんだから今日は帰ってくるよね? 「………はい」 あっちに行ってる間に、 気弱になって、気持ちに変化表れないだろうか? 「ちょっと、山村さん!そんなマットの動かし方だと腰を痛めるわよ!」 私に、 会いたいと思ってはくれないだろうか? 「す、すみません」 「長く続けたいなら、コツ覚えて! 仕事綺麗に体に負担なく!」 「は………い」 まだ、現実を受け入れられない私は、 ベッドを触りながら、 ケイタのことばかり考えてた。
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