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「なんで、私の番号………?」
これだけ人との接点を断ってきた私の携帯番号を知ってるのは、ごくわずかの人間だ。
………岸島?
岸島が凛々子から聞き出した?
そして、この男に?
「この間言ったように、とりあえず生きてる間の生活費工面しろよ、お前」
目の前に現れないだけ、まだマシだとも思ったけれど、
「何で私がそんなこと…」
「お前しかいねーだろうが?!
責任とれる奴はよっ?!」
--事態は、もっと最悪だった。
「電話口で理不尽なこと叫ばないでよ、
何でわたしが責任とらなきゃいけないの………」
私は悪くないと思いながらも、
死を目前にした松雄の歪んだ思考は、
私の声を震えさせるのには充分な恐怖を備えていた。
「………俺の面倒見るって言った岸島が、
俺を切りやがった………」
普通の人間なら分かる、裏切りの結末も、
刑務所の中では考えられなかったのかもしれない。
「お前が断ったら、
お前のねぇちゃん、
ヤッちまうからな」
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