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「おっ、香織先生来たっぽいぜ」
「それじゃあ。席に戻るか」
「相変わらず羽山先生可愛らしいな~。守ってあげたくなる可愛らしさだぜ」
「あ、香織ちゃん来たみたいだよ」
「うん、席に戻ろうか。早く早く」
「お昼になったら、一緒に御飯食ーべよっと」
男女それぞれの言葉があり、この言葉を聞く限り、羽山香織の生徒からの人望は厚いものだと分かる。
「はいみんな~。一旦静かにしてね出席確認するから………でも、名前を呼ばれたら元気よくお返事するように!」
そう言いながら、出席簿を出して生徒に声をかける。
「出席取るよ~。相沢浩孝君」
「はい」
「赤城結恵さん」
「はい」
着々と出席を確認していき、次は不良の十文字涼一郎の番になった。
「篠原男優君」
「はい!」
「十文字涼一郎君」
「…………へーい」
涼一郎の名前を呼んだ羽山は涼一郎が、ちゃんと出席確認に応えてくれたことに喜んだ。
十文字涼一郎は、ほとんどホームルームは寝ているため担任の羽山香織を困らせているが、今日はきちんと起きて出席確認に応えたのを聞いた相沢浩孝と少数のの涼一郎の理解者以外は「今日この高校に犯罪を犯した武装集団が来るのか!?」と冷や汗を流した。
「今日は起きててくれたんだね。十文字君」
羽山は笑顔を見せながら言うが涼一郎は半分目を開けながら返答。
「うぃ。ホームルームは起きてますが、授業中は眠りに就くのでご安心を」
涼一郎のそんな返答を聞くと、羽山香織は軽く涙目になりながら、可愛らしく声を荒げる。
「もう!そんなことしないでちゃんと授業受けて!十文字君が授業中寝てるせいで色んな科目の先生から私に苦情が来てるんだよ!お願いだから授業中起きててよ」
「そんなもん無視すりゃ良いでしょ」
羽山の言い分に涼一郎はするりと流した。
「そんな事出来るわけがないでしょ!?十文字君と話してたら一時間目の授業が迫り来るので、出席確認を再開します。それと十文字君!ちゃんと授業は起きとくように!!!ね!」
小さな握り拳を作り、可愛らしく“めっ”とやると姿に、涼一郎と浩孝は以外は頬を赤く染めた。
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