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余の征服計画は最終段階に入っていた。
愚かな人間どもの殆どは、余の仕草一つ一つに合わせてその表情を変化させる。
人間どもの表情を操ることなど、造作もないことだ。
だが、ここにきて高い壁に直面した。
余の意に沿わぬ顔をする人間が現れたのである。
気に食わぬので、鳩の群れに叩き込んだ。
逃げ惑う鳩にスカートを捲られ、戸惑う女。
ふっ。いい気味だ。
勝利を確信したそのとき。
不意に背後に気配が立った。
「白」
その声の主は、余の宿敵。
余がこの女を未だ扱いきれぬのに、この男はいともたやすくこの女を弄ぶ。
「やだ、何を言って・・・!」
女は頬を赤く染め、瞳を揺らす。
これが、余には決して見せぬ顔。
なぜだ。
なぜ余にその顔を向けぬのだ。
余の悩乱を他所に、女は男に叫んだ。
「シロじゃないわ、ポチよ!」
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