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「どうと聞かれても、話はまだ見えないよ」
やはり、誰かから話を聞いた方がいいのかもしれない。そう思った私たちは、一応、手近な方から攻めてみることにした。
「まずは、執事の重森さんから、話を聞く事にしよう」
四
重森さんは、キッチンで夕食の準備を始めているところだった。
「お話は、終わったのですか?」
「ハイ、それで、重森さんにちょっと話があって、ここに来たのですけど」
「話とは?」
私は、美奈子が話していた脅迫電話まがいの話を、重森さんに話した。
「やはり、話さなきゃいけないようですね」
重森さんはそういうと、私たちを先ほどの部屋に案内した。そして、誰も扉の前にいないのを確認すると、静かにフスマを閉めた。
「今から一〇年前、ある誘拐事件が、都内で起こりました」
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