0人が本棚に入れています
本棚に追加
所長に言われるがままに、私は、何の用意もせずに、一ノ瀬家に向かった。
二
一ノ瀬家は、昔ながらの風景の残るたたずまいをしていた。
「まるで、お屋敷みたいですね」
私はそういいながらも、近くにある呼び鈴を鳴らした。
「ハイ」
中から声が聞こえてくる。
「あの、こちらに木内美奈子という女性は、ご在宅でしょうか?」
「ハイ、少々お待ちくださいませ」
声がしたと同時に、門の扉が開き、中から執事らしき男性が出て来た。
「執事をしています重森と申します。美奈子さんは、ただいま、坊ちゃんの相手をしていて、忙しいとのことでしたので、代わりに私がまいられた次第でございます」
重森さんは、そういって頭を下げた。
「あの、どう言ったご用事で来られたのでしょうか?」
最初のコメントを投稿しよう!