事件三 依頼人は森のくまさん

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 所長に言われるがままに、私は、何の用意もせずに、一ノ瀬家に向かった。     二  一ノ瀬家は、昔ながらの風景の残るたたずまいをしていた。 「まるで、お屋敷みたいですね」  私はそういいながらも、近くにある呼び鈴を鳴らした。 「ハイ」  中から声が聞こえてくる。 「あの、こちらに木内美奈子という女性は、ご在宅でしょうか?」 「ハイ、少々お待ちくださいませ」  声がしたと同時に、門の扉が開き、中から執事らしき男性が出て来た。 「執事をしています重森と申します。美奈子さんは、ただいま、坊ちゃんの相手をしていて、忙しいとのことでしたので、代わりに私がまいられた次第でございます」  重森さんは、そういって頭を下げた。 「あの、どう言ったご用事で来られたのでしょうか?」
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