事件三 依頼人は森のくまさん

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 所長は、例の話はせずに、ただ、美奈子にだけ、会いに来たということで、家に入れてくれるよう頼んだ。 「急なご用事だったので、美奈子には連絡など、取っておりません。時間がかかるようでしたら、別の部屋で待たせてもらっても構いませんから」 「その必要はないでしょう」  奥から、別の男性が顔を出してきた。 「美奈子には、私から説明しておきます。この方たちを、お通しください」 「かしこまりました、旦那様」  重森さんはそういうと、部屋の奥へと消えていった。 「気のきかない執事ですみません。改めまして、私、一ノ瀬裕次郎と申します」  彼はそういうと、私たちに名刺を差し出した。 「はじめまして。私、日暮由樹矢と申します。こちらは、私の部下の」 「木内香織です。よろしく」  私はそういって、名刺を裕次郎さんに、お返事として渡した。
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