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私はそう思いながらも、言われたとおりに、後部座席に座ってみた。
「早速で悪いのですけど、あなたは今回の事件、誰が犯人なのかわかっていますか?」
白幡警部は、ミラー越しに、私に尋ねてきた。
「犯人が誰かという事は、私にはまだ、わかりかねません。しかし、私は、ある人物が、この事件の鍵を握っていると思ってます」
私は白幡警部に、森のくまさんという人物から手紙をもらったこと、先ほど、それを名乗る人物から電話がかかってきたことを説明した。白幡警部は、話をじっと聞きながら、相づちを打ってくる。
「森のくまさんという人物に、心当たりはありませんか?」
その質問に、私は頭を振って答えた。まったく、心当たりはないと。
「それでは、あなたは一〇年前の誘拐事件の事、何か心当たりはないですか? 例えば、事件の被害者家族についてとか」
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