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「ありがとうございました」
私はお礼を言うと、校庭を後にした。
五
次にやって来たのは、辻村小夜子がいると思われるテニスコートだ。私は、先ほどと同じように、顧問教師からオッケーをもらって、辻村小夜子にも話を聞くことにした。
「制服ねえ。私には関係ない事だと思うけど、その子って、本当に、夏服のブラウス、着てたのかしら?」
辻村小夜子によれば、彼女はしょっちゅう無くし物するから、それが当たり前のようになっていると、話してくれた。
「詳しいですね?」
「席が近くだからね。それより、私とその事件と、何か関係があるのかしら?」
私はホームルームに出ていない人に、話を聞いている事を話した。
「それで、南沢弘さんの話だと、あなたは、誰かの服が落ちていたのを拾って、先生の机の上に置いたという事ですけど」
「ああ、それか」
そんな事もあったなと、話しながら、彼女は息をフウと吐きながら言った。
「私が届けたのは、何だったかわからないけど。着替える前に、そこに落ちてたから。この時期は、気候の辺土が早くて、私も暑いのに、間違えて━━」
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