第1章

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「お兄ちゃん」  上中一成(かみなか・かずなり)はその日、 下校中に商店街を一人で歩いていると、 背後から声をかけられた。    一成は、 お兄ちゃん、 と呼ぶ声が自分のことを差しているのだとすぐにわかった。  声の主は、 一成のスボンを手で掴んできた。  一成が振り向くと、 そこには、 女の子がたっていた。 薄いピンクのワンピースに、 ショートヘア、 妙に大人っぽい顔立ちの少女だった。 「あそこに、 不良がいるでしょ?」  女の子は、 通りの奥を指差していった。 「あたしのお願い、 不良をやっつけて」  一成は、 発言の意図がのみ込めないでいた。
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