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「やっつける?」
「そう。
殴って、
やっつけるの」
一成は女の子が差す方へ目をやった。
二十メートルほど先、
ゲームセンターの入り口に、
二人組の姿があった。
金髪と坊主頭の、
ガラの悪そうな男たちが地べたに座り込んで談笑していた。
二人とも、
タンクトップにジーンズとラフな格好だった。
歳は、
一成より五つほど上に見える。
一成には、
どちらも面識のない男だった。
なんだ子供もいたずらか、
と無視して立ち去ろうとした上中に、
まって、
と女の子の声がかかった。
「わかったから。
それじゃあ、
あたしになにかあったら、
すぐに警察を呼んでね」
女の子は一成にそう言い残すと、
一人で歩き始めた。
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