第1章

7/28
前へ
/28ページ
次へ
 ガキに、 ハメられている。 「俺はなにもやってない」  興奮した一成の声は裏返っていた。  手首を掴んだスキンヘッドの太い指に力がこもるのがわかった。 一成はその手を強引に振り払おうとしたが、 スキンヘッドの握力は相当なもので、 まったくびくともしない。 既に、 力でどうにかなるような状況ではなくなっている。  そのときだった。 「やめなさい!」  一成の背後で若い女の声がした。  クラスメイトの中野嬢華(なかのしょうか)だった。 嬢華は、 腰に手を当てて、 いつになく鋭い眼光だった。 「一成。 こいつら、 なに? だれ?」嬢華が訊ねた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加