2章:惑い

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 惑いの森の入口に、各国の王子が統率する精鋭部隊が集う。  集っているのは、それだけではない。多くの露店が並び、お祭り騒ぎのようだ。  いつもはいがみ合う民たちも、あちこちでこの競争の話で盛り上がっている。  ピリピリとした緊張感を醸し出しているのは、王子たちだけだ。国の威信を背負っているためである。  この競争には七か国が参加している。七人の王子たちは互いに牽制しあっているようだ。  ……  ……  ーーパーンーー  始まりの合図と共に、王子率いる精鋭部隊が惑いの森に入っていった。  その背を、一人の王子が見ている。サラ姫の兄であるイザナ王子である。この競争の始まりの合図を放つ役目を終え、惑いの森に入っていった者らを冷ややかに見ていた。 .
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