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最後の部隊が入ったのを見届けると、イザナも森へと入る。
森に入ったイザナの前にザッと音をたて人が降り立った。
「エニシ、ユカリ」
イザナにそう呼ばれ、前に降り立ったのは二人。顔形は似通っているものの、二人に血の繋がりはない。しかし、一見二人は双子に見間違うほどの容姿である。
「サラの……」
イザナが発すると同時に聴こえる歌声。
「サラ姫様……強い歌声ですね」
ユカリは籠の塔の方向を見ながら呟いた。エニシも塔の方を向く。
「ああ、サラは挑んでいるんだろう。惑わず来いとな」
そう言って、イザナはニヤリと笑った。
「サラの所に、あれを置いてこれたのだろう?」
先ほど言いかけた言葉をイザナは発した。
「はい、窓際になんとか置いてこれました。″籠の塔″を登るは容易ではありません」
エニシもニヤリと笑う。
「惑わずに進み、あれを惑わずに登る勇気のある者……」
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