2章:惑い

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 最後の部隊が入ったのを見届けると、イザナも森へと入る。  森に入ったイザナの前にザッと音をたて人が降り立った。 「エニシ、ユカリ」  イザナにそう呼ばれ、前に降り立ったのは二人。顔形は似通っているものの、二人に血の繋がりはない。しかし、一見二人は双子に見間違うほどの容姿である。 「サラの……」  イザナが発すると同時に聴こえる歌声。 「サラ姫様……強い歌声ですね」  ユカリは籠の塔の方向を見ながら呟いた。エニシも塔の方を向く。 「ああ、サラは挑んでいるんだろう。惑わず来いとな」  そう言って、イザナはニヤリと笑った。 「サラの所に、あれを置いてこれたのだろう?」  先ほど言いかけた言葉をイザナは発した。 「はい、窓際になんとか置いてこれました。″籠の塔″を登るは容易ではありません」  エニシもニヤリと笑う。 「惑わずに進み、あれを惑わずに登る勇気のある者……」 .
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