2章:惑い

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 せめて、サラを託すならそれくらいの男でなければならない。王もイザナもそう思っている。 「さあ、我らも行くぞ」  森に流れる歌声を追わず、イザナらは城に向かって走り出した 。  ……  ……  森はざわつく。  大勢の進行がいつもの森のざわめきを七倍に、いやそれ以上にしている。  歌声に向かって進む七か国の王子らの隊。 惑いの森は、サラの歌声に聞き入っている。よって、森は侵入者を惑わさない。  しかし、一個隊が遅れはじめた。一番遠い北方の国からきた隊である。南国の暑さに体が慣れていないのだろう。 「クツナ国は暑いなあ」  大柄の男が発した。 「我らが隊だけずいぶん遅れております。デイル王子様、もう少し急ぎましょう」  大柄の男はどうやら王子のようだ。そして、急くように促しているのは王子の側近といったところか。 .
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