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せめて、サラを託すならそれくらいの男でなければならない。王もイザナもそう思っている。
「さあ、我らも行くぞ」
森に流れる歌声を追わず、イザナらは城に向かって走り出した 。
……
……
森はざわつく。
大勢の進行がいつもの森のざわめきを七倍に、いやそれ以上にしている。
歌声に向かって進む七か国の王子らの隊。 惑いの森は、サラの歌声に聞き入っている。よって、森は侵入者を惑わさない。
しかし、一個隊が遅れはじめた。一番遠い北方の国からきた隊である。南国の暑さに体が慣れていないのだろう。
「クツナ国は暑いなあ」
大柄の男が発した。
「我らが隊だけずいぶん遅れております。デイル王子様、もう少し急ぎましょう」
大柄の男はどうやら王子のようだ。そして、急くように促しているのは王子の側近といったところか。
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