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少女は、両の手のひらで優しく小鳥を包みこむ。ゆっくりと、籠から出して開けっ放しの窓に歩んだ。
眼下には、綺麗な街並みが広がっている。
南国ならではの色とりどりの果物が並ぶテントの市場。青き空に映える白い壁の建物。対面に見える城からは、八方に伸びる橙褐色の石畳の筋。そして、点在する色鮮やかな草花。
城下町の向こうには、深い緑が生命力の強さを空へと伸ばしている。
「さあ、お行き」
少女は空へと小鳥を放した。
小さな羽をパタパタと、小鳥は深い緑へと翔んでいく。
「鳥を愛でるは籠の中なんて嘘ね。羽ばたいてこそ、美しさを愛でられるもの」
少女は部屋に戻り、鳥籠の"内側"に触れた。
「私も、放たれたいわ」
声は小さく床に落ちた……
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