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大国の小競り合いは、やがて大きな亀裂を生み出し、大戦へと進んでいく。
大戦へ……
しかし、それを一国の王子が覆した。
「戦の場は、自国である必要はなし。敵国である必要もなし。戦うは惑いの森だ! いち早く抜けた国に戦勝国の名誉が与えられればよい!」
そんな宣言が、大陸を駆け巡る。
自国を戦いの場としないこの宣言は、各国の王を唸らせる。
勝っても負けても自国の被害は出ない。大軍でなく精鋭隊だけの競争のようなもの。賭事にも似たこの提案は、各国の民にも支持される。何故なら、徴兵されずにすむからだ。民は戦わずにすむのだ。
小さな、小さな南国は、正に大国の生けにえにさせられた。
「さあ、始めよう! 惑いの森を進め! 姫を拐った国が勝国であるぞ!」
と。
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