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……
……
ーーパーンーー
遠くで鳴らされた始まりの合図。サラは、惑いの森の彼方に視線を向けた。
「始まったのね」
サラの視線は空へと移る。
「放たれたい……」
空には優雅に羽を広げた鳥たちが見える。サラは、手を握りしめた。
窓の横のテーブルに一冊の本。サラはそれを見つめる。表紙には青き薔薇が一輪、荒野に華やいでいる。
「……ううん! 違うわ」
サラの声に力がこもる。つかつかと開け放たれた籠の窓へと進んだ。
そこからの景色は、王子率いる大国の精鋭が、惑いの森を進む動きが一目瞭然である。
サラはスゥーと息を吸い込んだ。
さえずり
サラは歌い出す。
小鳥であるなら、さえずらないと。サラの美声は人の心を惹き付ける。
『さあ、ここまで来るがいい』
サラは競う王子たちに導の歌をさえずった。
『惑わず来るがいい』
サラの心に"一輪"が芽吹いた。
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