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『ヤバイナ、アノ娘』
「ああ、よく耐えている」
その小さな泉は針葉樹に囲まれ知る者は少ない。
泉近く、一際高い針葉樹の上に人影があった。
物理的に細い枝の先に人が立つなど不可能。だが確かに立っている。
灰色のマントに身を包み、葦で編んだ笠を被っている。
場所を考えなければただの旅人にみえるだろう。
その人物の肩に黒猫が乗っている。
娘も木上にある影に気付いたなら恐怖しただろう。
しかしその人物も猫さえも気配がない。
一人と一匹は嘆き続ける娘をしばし見つめ、消えた。
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