第2章

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ー才華ー この国最大規模の町、才媛の國の城下町である。 通りは人で賑わい、店々は活気にあふれていいる。 そんな町の大通りにある一際大きな店。 ー季伊國屋ー 大きな商船を幾つも持ち他国と商いを行っている。 『欲しい者が手に入らねば季伊屋國へ行ってみな』 そんなことが言われるほどに… 薄汚れた道中合羽に三度笠、足袋は破れ草鞋も擦り切れている。 そんな旅装束の娘……娘と気付く者は皆無であろう、男の旅装束なのだから。 立ち止まり季伊屋國の大きな看板を見上げる。 店先で打ち水をしていた丁稚が眉をひそめる。 「そんなところで突っ立ってられたら商いの邪魔でぃ、用がないなら行った行った。」 邪険に追い払う。それもしかたない、こんなみすぼらしい旅装束の者が 季伊國屋の様な店で買い物できる様な金を持ってるはずもない。 娘は無言で立ち去った。
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