未来への翼

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いつもは足早に通りすぎるだけの公園の遊具に一目散に駆け寄る息子に追い付けないのは、両手に持った荷物のせいだけじゃない 普段は見せない子供らしい一面…子供なりに我慢させているのだと思うと切なくなる 「ママ、こっちだよ!」 いつの間にあんな高いところまで登ったんだろう 「気を付けて、翼」 「大丈夫」 生まれた時から父親そっくりの顔をしている翼は、ここのところますます彼に似てきた気がする スーパーのビニール袋をベンチに置いて、隣に腰を下ろすと満開の桜が風に吹かれてちらほらと花びらが舞う 翼が生まれてから3度目の春…最近ようやく落ち着いて景色を眺める余裕も出てきた
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