未来への翼

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そろそろ日が暮れてきた公園では、親子連れが三々五々帰宅し始めた 「翼、帰るよ」 「もっと遊びたい」 駄々をこねる翼の横を女の子が走り抜けていった 「パパー、待ってぇ」 父親らしき人は振り返って腕の中に飛び込んで来た娘を抱き上げると、そのまま肩車をして歩き出す その姿を見つめる翼の顔に夕陽が当たって黒目がちの瞳が濡れたように光っている 「…帰ろう?」 小さな手をそっと取ると、握り返す仕草に胸が痛んだ
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