未来への翼

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かわいそうな赤ちゃん… きっと誰にも望まれていない事に気づいて、自分から空に還っていってしまったんだ 他のお母さんのところに生まれていれば、可愛がられたに違いないのに… 命を粗末にした私には罰が与えられた。お腹の中で死んだ赤ちゃんを自分だけの力で産まなければならないのだ 本来、出産は母体の生み出そうとする力と、赤ちゃんが自ら生まれようとする力が合わさって進んでいく。赤ちゃんと母親の“共同作業”なのだ だけど死んだ赤ちゃんはただの“塊”だ それを母体の力だけで排出するのは並大抵のことではない 人工的に子宮口を広げて陣痛を促進する辛さは普通のお産と変わらない だけど死産はその先に、赤ちゃんの誕生という喜びがないのだ 苦しみしかない出産…それが先輩を裏切って好きでもない男に身体を投げ出した私への罰だった それは想像を絶するほどの痛みと苦しみを私に与えた
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