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都内とは思えないほどの静けさの中、ポン…という微かな音が聞こえた気がした
「ごめん。起こした?」
薄闇の中、床柱にもたれて雪見障子から外を眺めていた尊さんの輪郭がこちらを向いた
「朝は、まだ冷えるよ」
おいで、と呼ばれて側に寄ると身体ごとブランケットで包み込まれる
『尊くんに会いに行くように言ったのは私だよ』
ふと、専務の言葉を思い出した
「…優しい方ね」
「ああ、あの人には色んなことを教わったよ。いいことも、悪い遊びも…」
さぞかしスケールの大きな“遊び”だったに違いない
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