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「ごめんな。香織にばっかり負担かけて。悪阻の時もそうだったし、これからもっとお腹が大きくなって大変なのも、出産も代わってやれなくて」
もどかしそうに後ろから抱き締めた私を身体ごと揺する
その腕にそっと手をかけた
「弘人は“パパ”として十分やってくれてるよ」
忙しい仕事の合間を縫って、月に1度の検診や両親学級にも参加してくれる
部屋の隅には、まだ性別も分からないのに気の早い弘人が買って来た洋服やおもちゃ、絵本が積まれている
悪阻が終わってから、毎晩私を求めるのはどうかと思うけど、それ以外は赤ちゃんを心待ちにしているいい“パパ”だ
こうしていると弘人の腕の中は春の陽射しのように暖かい
その暖かさに包まれているのに、心がざわつくのは何故───…?
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