解(ほつ)れ

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私はこの子と、弘人と 先輩は紗栄子さんとその赤ちゃんと… 「―――っっっ…」 先輩が歩いていった廊下が、視界が曇って見えなくなった もうすぐ、赤ちゃんが生まれる紗栄子さん 誰に憚ることもなく、先輩の赤ちゃんを産むことが出来る紗栄子さんが羨ましくて羨ましくて仕方ない。 彼女はいつだって私から本当に欲しい物をさらっていくのだ ―――その彼女が死んだなんて、信じられなかった その上、彼女の結婚する相手が先輩ではなくて、先輩のお兄さんだったなんて もう、何が何だかわからなかった 『…元気だった?』 散々迷ってたどり着いたあのバーで、答え合わせをしていれば―――… 一体どこからやり直せば、彼の隣に私がいる未来が待っていたんだろう?
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