第4章

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ふと、取って付けたような考えが頭を過る。 「ち、ちょっと待てッ!!」 腕を思いっきり突っぱねて、腕の中から脱出する。 「……なんだ。」 明らかに不満そうな顔で、いつものバリトンがバスになっている。 「なんだじゃないですよっ!社長、は、渡辺緋呂乃さんと付き合ってるんですよね?!」 いっ、言ってやった! 言ってしまったッ! 「またあの女の話か……。」 途端、うんざりしたようにオレから離れた。 な、なんだ? ハア、と小さく息を吐くと立ち上がった。 「……明日は八時半には出るからな。キチンと起きろよ。」 そう言い置くと静かな足取りで、階段を上がって行った。
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