第3章

3/33
5719人が本棚に入れています
本棚に追加
/634ページ
「あ、あの、実は冷蔵庫と洗濯機がまだ……。」 その言葉に、ふーんとつまらなそうに相槌を打っただけだった。 少しの沈黙の後、不意に声を掛けられた。 「腹減ってるか?」 「ハイ。……あっ。」 あまりにもナチュラルだったから、つい素直に答えてしまった。 何せ朝から食べていない。 その答えにまた片口唇を上げて、車を発進させた。 「嫌いなものはあるか?」 「特には……。」 そういえば、嫌いなものってあるかな……。 ぼんやり考えてみる。 「寿司はどうだ?」 「好きです!」 条件反射で思わず答え、ハッと振り向くと嬉しそうな顔をした社長がいた。 「寿司でも食べに行くか。」
/634ページ

最初のコメントを投稿しよう!