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「この白菜120円!
そこのきゅうり3本80円でどうだい!」
野球帽を被り、腰に八と書かれた
エプロンを巻きいかにも八百屋っと
いう感じのおじさんが大声を出し、
客引きをしているのを皮切りに
朝市は活気であふれていた。
私は足を止めずに
各店舗の商品を流し見ながら
市場のはしっこまで到達した。
はしの方になると人通りも少なく
遠くの方で先ほどの
八百屋のおやじの声が聞こえいた。
(あのオヤジ声よくとおるな)
そんな事を思いながら、
ぼちぼちバス停に戻ろうと
来た道を帰ろうとしたとき。
「お兄さん」と後ろから声をかけられた。
びっくりして振り返ると、
そこに一畳ほどしかない
ござの上に紺色の着物に黒い羽織物をまとい、
立派な白ひげを蓄えて
老人がちょこんと座っていた。
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