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「お…おれですか?」
指で自分を指すと老人は
ゆっくりと頷いた。
「なに、じいちゃん?」
老人に近づくと
「お兄さん眼鏡はいりませんか?」
そう言うと老人は
自分の前に飾っていた黒ぶち眼鏡を
手のひらの上に乗せて、
私に差し出した。
(なんだか薄気味悪いな…)
そう思うと、
「薄気味悪くなんてございやせん、
未使用の新品でございやす。
度数も入っていやせんので、
伊達めがねとしても
お使いになれやすよ。
あなたも最近めがねに
興味があったでしょ?」
一瞬自分が考えていたことを
読まれてドキッとしたが、
老人が言っていた通り確かに最近、
伊達眼鏡が欲しいと思っていた
最中であった。
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