第1章

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「お…おれですか?」 指で自分を指すと老人は ゆっくりと頷いた。 「なに、じいちゃん?」 老人に近づくと 「お兄さん眼鏡はいりませんか?」 そう言うと老人は 自分の前に飾っていた黒ぶち眼鏡を 手のひらの上に乗せて、 私に差し出した。 (なんだか薄気味悪いな…) そう思うと、 「薄気味悪くなんてございやせん、 未使用の新品でございやす。 度数も入っていやせんので、 伊達めがねとしても お使いになれやすよ。 あなたも最近めがねに 興味があったでしょ?」 一瞬自分が考えていたことを 読まれてドキッとしたが、 老人が言っていた通り確かに最近、 伊達眼鏡が欲しいと思っていた 最中であった。
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