インコのピーコ

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「ピーコ!」 階段をのぼり ピーコを捕まえに 行こうとしたとき リビングの扉が開き、 「何騒いでるの?」 と母が顔を出した。 「いや、母さんピーコ また逃げ出してるよ。」 このピーコは 昔から逃亡の天才で くちばしを器用に使って シャッターを開け、 部屋中をよく飛びまわっていたが、 母がシャッターにカギをつけてから というものそれ以来 ピーコは脱走できなくなった。 「え?あんた何言ってるんだい?」 「うん?何が?」 「ピーコ5日前に亡くなったのよ。 そういえばあんたに 言ってなかったね。 もう12才のおじいちゃん インコだったからね。」 「え?うそだろ、 さっき確かにピーコ 俺の肩にいたはずなんだけど」 母にお土産を手渡し、 メガネを外し2階を覗きこみ 確認をしようと再び階段をあがった。 「寝ぼけてたんじゃない? 早く降りてきてよ。 もうチャーハンできるわよ」 2階に上がり自室、 両親の部屋、妹の部屋 全て確認をしたが ピーコの姿はなかった。 (寝ぼけてたのかな?) そう思いながら、 キッチンに降りていった。 昼飯を食べたあとは 自室にこもり実家に置いていった マンガを夕方まで読みあさった。 すると母が 「晩御飯はすき焼きだから お腹減らしに散歩しておいで」 と促されたので すき焼きと聞き、独り暮らしでは まずありつけないごちそうに、 言われるがままに支度を整え、 めがねをかけた瞬間、 目の前の勉強机にまたピーコが現れた。
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