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「平気か……奈緒……」
少し呼吸を乱した亮輔さんが、彼の下で
もっと呼吸を乱している私に聞いてくる。
倍近い体重の亮輔さんは、私を押し潰さ
ないか、毎回心配になるそうだ。
だから、いつもこうして聞いてくれる。
「だいじょ、ぶ、……っ……」
答え終わらないうちに刺激が強くなり、
それ以上言葉にできなくなる。
代わりにどうにか手を伸ばし、厚い筋肉の
付いた胸に、手を這わす。
その行為に、少し苦し気に顔を歪めた
亮輔さんの顔が見える。
大好き。
心の中で、何度も繰り返す。
一層激しく揺らされて、彼に連れられ、
最後の高みに昇りつめた。
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「おい、奈緒!大変だ、起きろ!」
「んー、何?亮さん。そんな大声出して」
「寝過ごした。急がないと遅刻する!」
「ええ、なんで!?ちゃんと目覚ましを
セットしたのに……」
亮さんから衝撃の事実を告げられ、ガバッと
布団を跳ね除けた。
「悪い、俺が止めちまったかも」
「もう、信じられない。とにかく早く
支度して!」
時計を持った彼が、すまなそうに眉を下げる。
あたふたと大急ぎで支度を済ませて、
部屋を飛び出した。
「はいこれ。着くまでに腹ごしらえ。
よく噛んでね」
「サンキュー。いつの間に作ったんだ?」
「いいから、食べて。飛ばすからね!」
「おう。事故るなよ」
「もう、こんな時に、縁起でもないこと
言わないで!」
化粧の時間を犠牲にして作ったおにぎりを
彼に渡して、アクセルを踏み込む。
なぜかみんな驚くけれど、私は見かけに
よらず運転は得意なんだから。
付き合い始めの頃、亮輔さんも信じてくれず、
なかなかハンドルを握らせてくれなかった。
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