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「平気か……奈緒……」 少し呼吸を乱した亮輔さんが、彼の下で もっと呼吸を乱している私に聞いてくる。 倍近い体重の亮輔さんは、私を押し潰さ ないか、毎回心配になるそうだ。 だから、いつもこうして聞いてくれる。 「だいじょ、ぶ、……っ……」 答え終わらないうちに刺激が強くなり、 それ以上言葉にできなくなる。 代わりにどうにか手を伸ばし、厚い筋肉の 付いた胸に、手を這わす。 その行為に、少し苦し気に顔を歪めた 亮輔さんの顔が見える。 大好き。 心の中で、何度も繰り返す。 一層激しく揺らされて、彼に連れられ、 最後の高みに昇りつめた。 _____ ____ 「おい、奈緒!大変だ、起きろ!」 「んー、何?亮さん。そんな大声出して」 「寝過ごした。急がないと遅刻する!」 「ええ、なんで!?ちゃんと目覚ましを セットしたのに……」 亮さんから衝撃の事実を告げられ、ガバッと 布団を跳ね除けた。 「悪い、俺が止めちまったかも」 「もう、信じられない。とにかく早く 支度して!」 時計を持った彼が、すまなそうに眉を下げる。 あたふたと大急ぎで支度を済ませて、 部屋を飛び出した。 「はいこれ。着くまでに腹ごしらえ。 よく噛んでね」 「サンキュー。いつの間に作ったんだ?」 「いいから、食べて。飛ばすからね!」 「おう。事故るなよ」 「もう、こんな時に、縁起でもないこと 言わないで!」 化粧の時間を犠牲にして作ったおにぎりを 彼に渡して、アクセルを踏み込む。 なぜかみんな驚くけれど、私は見かけに よらず運転は得意なんだから。 付き合い始めの頃、亮輔さんも信じてくれず、 なかなかハンドルを握らせてくれなかった。
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