兄が残したもの

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━━三咲side━━ なんでかな…会ったばかりの人に、こんなこと話して… 彼の言葉が、お兄に言われてるみたいで、お兄が泣いてもいいよって言ってくれた感じだった。 …………? 泣き終わるまで、側に居てくれた彼。 でも今彼は、うつむいて、私を見てくれない…。 あのね君が、お兄の話をしてくれて、私の話まで聞いてくれて、嬉しかったの… 私の話し暗かったよね。重かったよね。ごめんなさい…… だから、そんな悲しい顔しないで お願い 泣かないで……。 うつむいたままの君…。下を向いてても、分かるよ。だって涙が頬を伝ってるもの…。 男の人が、泣く姿初めて見た… どうしていいか、分からないけど、私は彼の頭を、撫でてみる… 昔私が泣いた時お兄が、してくれたの。 「くっ…栗原…さん?」 「泣かないで…」 「ごめんなさい…泣きたいのは、栗原さんの方だよね」 「成瀬君…今日のお礼に、これあげます。」 私は彼に昨日作った、お兄へのミサンガを差し出した。 お兄の為に作った物だけど、彼にあげたくなったの。 「そんな……僕が貰うなんて」 「成瀬君に、貰ってほしい」 「でも…」 私は彼の手を取り、ミサンガをつけた。 ミサンガは淡い水色と濃い青の空の色。 まるで彼の為の色だった。 「似合ってる。成瀬君の願いが叶います様に」 「…ありがとうございます栗原さん」 彼はミサンガを見つめて少し笑った様に見えた。よかった。彼の涙が止まったみたい。
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