兄が残したもの

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もう二時間位、空手部の部室に居る。さすがに、授業に行かなきゃと思う…。 私は大丈夫だけど…彼は大丈夫なのかな?さっきから、ミサンガずっと見てニヤニヤしてるし……そんなに、ミサンガ好きなの? 「成瀬君?そろそろ授業……」 「へ?あっそうですね…授業…忘れてました」 「今日はありがとう。成瀬君のお陰で気持ちが少し楽になった気がする。お兄の宝箱も嬉しかった」 「僕もです。ありがとうございました。ミサンガ大切にします」 「じゃあ」 「……はい」 彼に一礼して、私は部室を後にした。 登校時とは違い、気持ちが少し軽い。泣いたからかな、お兄の話し聞いたからかな、あんなに胸が締め付けられて、苦しかったのに。 「━━━あ━━あの!!」 後ろから聞こえてきた声に、私は振り向くと、成瀬君が私を追いかけて来ていた。 「成瀬君?」 「すっすいません」 「どうしました?」 「あっあの…えっとですね…」 ?? 「なにか?」 「も………もし良かったら……連絡先聞いてもい…い…ですか?」 「構いませんよ?」 私は訳が分からない…どうして、そんなに嬉しそうにしてるの?携帯の番号くらいで………友達とか居ないのかな? 表情がコロコロ変わって面白い人…。
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