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俺は息絶えた、自らの望んだ終幕を迎えた、そのはずだ。
しかし俺は、今も赤の中に浮かぶ女の骸を見下ろしている。
痛みはない、体が軽い。
まるで空気のように、質量の無い何かになったような。
そんな奇妙な感覚に陥りそうなほどに体が軽い。
そしてふと、女を見詰める俺の視界に白い煙が映る。
その煙を目で追っていくとそこには、俺が吸っていた煙草が落ちていた。
その横には、頭が真っ赤に染まった、女とは違う骸。
よくよく見るとそれは俺で、つまり俺はやっぱり死んだということで、ならば俺はいったい何なのか
俺はきっと、幽霊とやらなのだろうか
まぁ、霊は死んでから四十九日の間この世に留まるらしいから、つまりはそういうことなのだろう。
俺はやっぱり死んだのだ。
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