人を殺した

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火をつけた煙草をくわえ大きく息を吸い、そして吐き出す。 肺に染み渡る煙の感触と、脳を揺さぶられたかのようなふわふわとした感覚。 人を殺したという事への高揚感と相まって、それは俺の頭へと靄を掛けた。 そして特に意味もなく、赤い水溜まりに浮かぶ女へと目を向ける。 すると、懐かしい思い出が頭に浮かぶ。 『まだ人を殺していない人殺し』 そう呼ばれ始めた頃の、忌々しい、吐き気のするような日々の記憶。
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