第1章

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嫌味と判る口調で言ってみる。 しかし彼は、爽やかに一笑した。 「あはは、俺もデキナイ生徒でね。気にしてもらってたんだ、椎名先生に。 苦手仲間だね、深井さん」 「...苦手なのに、化学のセンセイなんですか?」 「いや、俺の専攻は物理なんだ」 あー...って、いやいや。 それにしたって、物理と化学との間に、それほどの壁があるとはびっくり。 ...あぁ。そっか。 きっと、私の“苦手”とはレベルが違うんだよね。 素直に親近感を抱いちゃった自分が憎い。 「...アインシュタインの相対性理論とか、面白そうだなって思います」 「やっぱり!?俺も、そこから入ったんだよね!」
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