4.epilogue

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 夏休みが終わり、後期日程になると俺も以前ほど暇を持て余すことが少なくなった。逆に木ノ本さんは自称中弛みの期間だと言って、サークルの練習にもまた顔を出すようになっていた。  結果として外で会うよりグランドで顔を合わせる機会が増えたわけだが、そうかと言ってプライベートで会う回数が減ったわけでもない。  その日もたまたま都合がついて、土曜の昼だと言うのに木ノ本さんと二人で遊びに出かけることにした。その途中、立ち寄ったのは、以前一度だけ案内してもらったことのある河川敷だった。  快晴の空の下に、簡素だが使い古された感のあるグランドが広がっている。真っ昼間と言うこともあり、本日の利用者は近所の小学生だった。楽しげと言うより、とにかく元気な声が周囲にこだましている。  ――ああ、なんか懐かしい。  雑草の敷き詰められた土手に佇み、俺はその光景を無言で眺めていた。するとその背後から、 「コーヒーと炭酸どっちがいい?」  肩越しに二つの缶を差し出され、俺は炭酸飲料の方を手に取った。 「あれ、珍しい」 「前は俺、炭酸ばっか飲んでたんですよね」  コーヒーを飲むようになったきっかけは、実は仲矢が好んで飲んでいたから。そこにそれ以上の理由はないが、たまには昔の自分に戻ってみても良いかと気が向いた。  なのに程なくして聞こえてきたのは、 「俺コーヒーならブラックが好きなんだけど……」  自分で選ばせておいて、何故か不満そうに言うそんな声。しかも文句を言いながらもプルタブを引き上げ、早速ひとくち飲んでいる。そんなに喉が乾いていたのだろうか。 「それならブラックを買えば良かったじゃないですか。俺ブラックだって別に飲めますよ」  俺は少し唖然としたものの、そんな木ノ本さんの手元を指さして言った。
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