序章

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ピピピピッピピピピッピピピ、カチッ。 いつも通りの目覚まし時計の音で目を覚ます。窓から見えるビルだらけの町並みも、朝特有の部屋の薄暗さも何故か二つ並んだ学習机もいつもと何一つ変わらない。寝ぼけたまま薄型のテレビをつけ、朝ごはんを作る。 「今日は食パンにしようかなぁー。」 勿論、声に出しても返事は返って来ない。人の声だけでなく、虫の気配すら感じないほど静かだ。でも、何故か時々話したくなるから不思議だと思う。 食パンをトースターにセットして焼き終わるまでの間に飲み物を用意しながら、テレビを見ていた。最近は事件のニュースが多くて物騒だ。今日もその続報かな。 『速報です。No.100が就任しました。前回は17歳の男性から選出されたため、今回は17歳の女性から選出を行ったとのことです。』 「へぇ、No.100決まったんだー。」 学校のテストの時事問題で出るかも。あの社会の先生、時事問題好きだから。と考えて、朝ごはんの支度を一旦中断し、テレビに耳を傾けていた。No.100のお披露目記者会見の様子が流れ始める。 まず、真っ黒な汚れや塵一つ無いスーツに身を包んだいかにもSPですって感じの人が出てきた。やっぱり国のトップだから、警備が凄い。一人一人が身につけている銃も、高そうな物ばかりだ。いきなり、カメラのフラッシュがの音が重なり始める。No.100の登場か。
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