序章:即死フラグ

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元々、幼い頃によくいじめられていた幼馴染みをいじめっ子から守るために親父から教わっていたボクシングが、思いもよらぬ方向に芽が出てしまった。結果として幼馴染みは今も元気なのだから問題無いのではあるけど。 幼馴染みは、実に優秀な奴だった。 小学校5年生の段階で数学検定1級を取り、中学2年生の時にやった自由研究では全国学生研究論文発表会で特別賞を取った。大学院生も参加しているというのに。 そんな幼馴染みは、何故か飛び級で国立大学に入らないかという誘いを蹴り、これまた何故か何の変哲もない私立高校に入学した。 彼女ーー梢曰く、 「私は誰かさんに守ってもらわないと研究が続けられないから」らしい。 しかしまぁ、一研究者となってしまった彼女が入学したのに何の待遇もないとなると流石に問題なのか、学校側が彼女に特別措置を出した。 それが研究室として理科室だった一室を譲渡すること、理数系授業時と放課後は好きに使用して良い、というものだった。 彼女はそれを大層気に入り、ここ一週間(つまり使用時間の約束も破り)研究に没頭した。 そしてつい先刻、研究成果の確認をして欲しいと俺の元へやってきたのだ。 まさか、それが悪夢の始まりだったとは、その時の俺は予想もしていなかった。
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