非日常へ

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翌日。 普通ならば朝食を食べる時間帯に我が家のリビングでは家族会議が行われていた。 議題は『門限を破り1日中帰って来なかった父さんへの天罰か死刑』か。 その是非を今決めている最中だ。 被告人の父さんは縄で拘束されリビングの床に放置されている。 右?には真っ赤な手形が付いている。母さんの手形だ。 「わたしは死刑で。わたしも友達の家に泊まりに行きたいのにお父さんはいつも拒否。突き放す。話題を勝手に変える。なのに父さんは門限を簡単に破り朝方帰ってきた。許さん!」 リビングに転がる父さんを犬小屋に入れて施錠した。 犬小屋の中にはタマがいたが酒臭い父さんに我慢できず父さんの手に噛みついて追い出そうとした。 「タマ!会議が終わるまで待ってなさい!」 「クゥーン」 嫌そうな顔で犬小屋の奥で腰を下ろした。 父さんは指を噛まれて涙目だったが口をタオルで巻かれていたので悲鳴は聞こえなかった。 俺の妹、黒滝いのりは椅子に腰を下ろして会議を再開させた。 「お兄ちゃんの意見も聞きたい」 「えっ、や、その、えっと……」 「早く答えて。早く!」 「う、うーん。どうしよ……」 悩んだ顔で天井を見上げるも内心では無罪放免にしたいところだ。 だって今日は夜ノ夜戦。 今日の夜ノ夜戦に参加するために門限を破り明日の朝方に帰ってくる。 なので朝方帰ってきた父さんと同罪になるが、今ここで父さんの味方になれば明日の家族会議で無罪を勝ち取ることができる。 だが、門限を破ります!なんてさすがに言えない。 「……無罪で」 これしか言えない。 適当な言い訳も思いつかない! ある意味詰んでいるよ!? 「なんで無罪なの?」 「……無罪の理由?」 「うん。無罪の理由を教えて」 妹よ!言えるわけないだろう! だが、適当な理由を言わないと怪しまれる。 いのりと母さんが味方につく理由。 賛成多数で決まるこの家族会議で無罪を勝ち取れる理由を。 いのりだけも味方につけれたら家族会議で勝利だ。 「……父さんを無罪にする代わりに外出許可をもらう。正当な取引だと思うが」 この言葉に静まり返ってしまったリビング。 いのりだけを味方につける言葉はこれしかなかった。 この静寂に包まれたリビングを最初に打ち砕いのは『いのり』だった。 「わたしも賛成!」 これで賛成多数で無罪になった。
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