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楓はりんたろーの元へと
向かった。
楓(文)
「りんたろーくん!」
楓の声にりんたろーが気付く。
りんたろー
「あっ!楓ちゃんじゃん!
どしたの?1人で?」
楓(文)
「えっ‥あぁ‥あなたが
文字が分からなくて‥
困ってるのかなーって思って」
りんたろー
「へぇ~。心配して来てくれたんだ。
やっぱり楓ちゃんは優しいね。
もっと気に入ったよ!」
りんたろーの言葉に
嬉しそうな楓。
しかし楓はまだ完全に
りんたろーを信用したわけではない。
楓(文)
(嬉しいこと言ってくれるのは
悪い気はしないけど‥
とりあえずあっちがあからさまに
私を利用しようとしているかを
見極めないと
利用してるならまずは先に
文字を聞いてくるはず!)
楓は考えている。
彼女の特技は『人を見ること』
相手を見て‥
相手が自分をどう思っているかを見極め
どういったものかを求めているかを
察知するのが得意。
そのため人に嫌われることが少なく
現実世界でも友達が多い。
りんたろー
「でもさ‥助けてくれるのは
ありがたいんだけど
ここは対等に行かないとね!
まずは
俺が先に教えるのと
楓ちゃんが先に教えるの
どっちが良い?」
楓(文)
(ん?私から一方的に聞くわけじゃなくて
あくまで自分からも教えようとしてる。
やっぱり利用してるわけではなさそう)
楓(文)
「じゃあ‥りんたろー君が先に‥!」
これは‥
心理学上のテクニック。
例えば
相手をデートに誘った時
『僕とデートをしませんか?』
と聞くと
相手が『行く』か『行かない』かで迷う。
だが
『デートしたいんだけど映画館と遊園地
どっちが良い?』
と聞けば
相手は『行く』か『行かない』の迷いではなく
『映画館』か『遊園地』かという
迷いに変わり、行く可能性が高くなる。
つまり‥
人は選択肢を与えると
とっさにその中から選ぼうとする。
楓がりんたろーの文字を
『教える』か『教えない』かの迷いは
『自分が先』か『相手が先』かの
迷いへと変わり
気付かぬうちに
文字を教えることを前提として
話が進むように誘導された。
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