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離れていくりんたろー。
だが‥楓から毎回
文字を教えてもらうという
約束を結んだ。
実はこれもりんたろーの狙い通り。
彼の目的は最初から
この約束のためだった。
またしても心理学上のテクニック。
人に物事をお願いする時‥
あらかじめそれよりもハードルの高い依頼を
用意しておく。
例えば‥
個展などでラッセンが描いた
気に入った絵があっても
それを『数十万』で売られれば
さすがに買う気にはなれない。
だがそこに申し訳なさや葛藤があれば
その後で
それのポスター版やジグゾーパズルなどを
『数千円』で売られれば
『このくらいなら買っても良いか』
という感情に陥る。
つまり‥
楓にとって
『自分と2人で組む』という願いは
さすがにリスクが大きすぎて
承認することはできなかった。
だが‥その願いを
叶えてあげられなかった申し訳なさに
漬け込み
『毎回文字を教えてあげる』という願いを
その後にすることで
楓は承諾した。
りんたろーの人心誘導のレベルは
相当なものであった。
そして‥
楓はまだ自分では気付いていない。
彼女の心の鍵が
どんどんと解かれていっていることに。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
そして
その他の状況はどうなっているか?
りんたろーのような心理学における
テクニックや
りょうまグループや
幹也のように
答えを教え合うパートナーを持っていない者達は
いまだに
お互いを信用できずに
何もせずその場で躊躇している。
すると‥
ウメリョー
「と‥とりあえず‥
このままじゃみんな自分の文字が
何なのか分からない!
ここはみんなで協力しないか?」
ウメリョーが叫ぶ。
ハナコ
「協力ってどうやって?」
ウメリョー
「簡単さ!
全員の前で堂々と1人ずつ
自分の文字をみんなに教えてもらうんだ。
そうすれば嘘なんてつけない。
たしかに誰も死ななきゃ
ゲームは進まないかもしれない。
でも無闇に疑って
殺し合う必要も俺にはないと思う」
ウメリョーが提案を持ち出した。
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