2. 幼馴染みは出会い頭からオカシイ

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 いや、『誰』じゃない。『何で』だ。  最初のダミ声はらしくなかったけれど、それでもやはりあーちゃんで間違いない。  とすると、何であーちゃんが、こんな格好で、こんな時間に、こんな所にいるのか、と疑問が次々浮かぶ。   しかしそのツインテールのあーちゃんは、そんなことを気に掛ける様子などない。  確かに、そんな雰囲気も全くなかった。  背後から扉の摩擦音が、大きく響いてくる。  反射的に振り返ると、真咲がちょうどドアを閉めたところだった。  あっと思った時にはもう遅く、私は何の言葉も挨拶もなく屋上の彼の前から立ち去ってしまっていた。 「若菜っ、大丈夫か?!」    私の後悔など薄っぺらい表層的なモノなのだろう。彼に対して申し訳なかったり、それを自惚れだと戒めたりしつつ、私は既に二階の廊下にまで来ていた。  美少女なあーちゃんの思い詰めた表情にすら、自分の薄情さが見えて申し訳なくなる。 「……ん」 「ここは安全?」  辺りを睨みながら、今度は小声で尋ねるあーちゃん。 「うん」  会話の懐かしさに一人ホッと息をつきながら、改めて私も周りに目を向けた。  あーちゃんに負けず真剣な目をした真咲が私達に追いつき、不安そうに私に視線を投げてくる。  その後ろに、困惑した様子の笹木さんがいた。
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